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第16回目のコラムです。

 

だいたいコラムを書く時は過去のコラムを確認するのですが、意外とマーベル取り上げてなかった事に気がつきました。

 

と、いうわけで今回はSEIKOマーベルのお話です。

 

SEIKOマーベルは1956年に誕生しました。

 

長く続いた戦争が終わり、1945年にまずは女性用の腕時計から生産を再開したセイコーですが、小さいゆえに組み立ての効率が悪く、品質面でも満足の出来る時計が生み出せなかった事もあり、翌46年には男性用の腕時計作りに着手します。

 

さて、いきなり話が変わりますが、当店では国産時計を幅広く取り扱いしておりますが、扱う商品のほとんどは1950年代以降の時計になります。

 

もっと言えば中3針(真ん中に秒針が付いている時計です。)

 

これは品質的な問題もあり、特に1940年代頃の時計はお世辞にも作りも良くなく、70年以上経過した現代では実用性を維持する事は難しくなっています。

 

よくスモールセコンドの国産時計は無いのですか?と聞かれるのですが、だいたいこの年代に当てはまります。

 

正直、好みのデザインが多いので、個人的には何本か所有しているのですが、売り物となるとなかなかオススメ出来ないと言うのが本音です。

 

よくNHKの朝のドラマでも作中戦争を描く事が多いですが、その光景を見ても満足な時計作りが出来る環境が整うまでには時間が必要だった事は容易に想像できるのです。

 

 

 

さて、マーベルの話に戻します。

 

1950年に初の本中3針「スーパー」を発売以降、生産量も倍増しセイコーは積極的な設備投資を行います。

 

最新の工作機械を導入する事により、部品の工作精度も上昇し、戦後の時代には考えられなかったほどの飛躍的な進歩を遂げます。

 

そんな中で生み出されたマーベルは、それまでの国産=安物のイメージを払拭するには十分過ぎる品質と実用性を併せ持っていました。

 

58年の国内の腕時計コンクールにおいては1位~9位を独占するというとんでもない記録を達成しています。

 

実際、当時の国産腕時計に与えた影響はそうとう大きかったのではないでしょうか。

 

余談ですが、2021年にセイコー創業140周年を記念してヒストリカルモデルのピンバッジをセイコーが製作しましたが、その中にはマーベルもちゃんといました。

 

それだけセイコーにおいても重要なモデルの一つと今も認識されているのは、一人の時計好きとしてとても嬉しかったです。

 

 

 

 

デザインに目を向けても秀逸で、文字盤のSマークは50年代セイコーの特徴で丸みのあるケースもクラシック感をさらに強くしています。

 

完成されたデザインの中にも少し懐かしい感じがするのは僕が日本人だからでしょうか。

 

その後のクラウンやグランドセイコーにも繋がる名品ですが、現実的な価格で手に入れる事が出来るのも非常に魅力的です。

 

まだまだ残暑がきついですが、そろそろ終わりも見え始めてきました。

 

重ね着が始まるこれからの季節に向けて是非ご検討の中に入れていただきたいシリーズです。

 

それではまたの機会に。

 

Mでした。

 

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